遠い夢を見ていたようだ。
私がもっと賢くて、皆と分かり合える世界。
背伸びしても永遠に届かない場所にある。
どれほど本の中の奇跡に縋っただろうか。
小説の一文に自分の心を溶かした。
どうしても青春というものを手に入れたかった。
誰かがそばにいて、笑いの絶えない夢。
目が覚めた時、現実を幻に変えてしまえればとさえ思う。
死んだら消える記憶だけれど、私はそれが大切で仕方ない。
だから今を楽しく生きて、そして死にたい。
けれど神はそれを許してはく
れないようで。
今日も私は夢を見る。
決して現実では起こらない。
綺麗で小説のような夢。
遠くで光り続ける夢だった。