虹の麓

作:お餅

電車に揺られ進んでく

隣に居たはずの影は来ず

二度と会えぬと知っていても

キーボードの上手を走らせた

「いつかまたこの駅で」

「かけこみ乗車はだめだよ」

「藍色の傘を差し出して」

「置いてく日々を拾いに来てよ」

返る送信不可のメールは

きさらぎに届いてる

独りそこに居るの?

突然鳴った通知

懐かしいメロディ

影は二度と見えぬとも

そこには何かが残るのです

私が見た言葉、それは

「虹の麓で待ちます」

人で在る者は届かぬ麓には届かぬ

いつか影が落ちたら

虹の麓で待ちましょう