行く先

作:お餅

もう大丈夫だよって手を差し伸べてくれた人がいた。

私はその手を取ろうとしたが、その人は後ろから鋭い刃で貫かれて息絶えていた。

それを見て思う。

神と呼ばれ、崇められるものはどこを目指しているのだろうか。

人生という台の上で

誰かを助けたいと思う人が多く蹴落とされる。

ただ、目の前にある命を救いたかった。

その一心できっとこの人はここまで来た。

けど、そのせいで、

私は救われ、貴方は消えた。

初めからどちらかが死ぬと決まっていたかのように

どちらも手を繋いで帰るなんてハッピーエンドは初めから無かったんじゃないかって、そう思う。

けど、もう戻れないから。

私は墓前に花を供える。

あの日を忘れない。

生暖かい血が温度を失って服が剥がれなかった。

あの人の亡骸を持って

歩いたあの日

私はあなたの分まで生きてるよ。

ハッピーエンドで逢いましょう。